アメ車といえばV8エンジン。ステレオタイプな発想ですが、アメ車はV8エンジンを看板としてきました。
フランスで生まれたV8エンジンは、1941年にキャデラックに搭載されて以来、ずっとV8エンジンです。
しかも、エンジンの吸排気弁機構はいまだにOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)が採用されていたりします。それがアメ車の哲学だといえます。
V8エンジンの歴史
V8エンジンは1901年にフランスで生まれました。レオン・ルヴァヴァッスールが形式を考案し特許を取得しています。
それまでエンジンは単気筒から始まり2気筒、4気筒と進化してきました。次は6気筒となりそうですが、クランクシャフトが長すぎて満足に回ってくれません。
そこで、考えられたのが直列4気筒を二つにしてV型にしたV8エンジンです。
V8エンジンは飛行機や船など馬力が必要な乗り物に採用され、1910年に自動車用V8エンジンが登場します。
アメリカでも採用され、1914年にキャデラックがV8エンジンを載せた車が誕生したのです。
しかし、このV8エンジンには問題がありました。それは振動です。直列4気筒でも振動はありましたが、直列4気筒を二つにしたV8エンジンはさらに問題です。
キャデラックはこの問題に取り組み、クランクの形を変えることで克服しました。1923年に改良したV8エンジンを搭載したキャデラックが市場に出され、高級車で採用されるようになったのです。
アメ車がOHVにこだわる理由
OHVエンジンだと上手くガソリンが燃焼されないため、クライスラーは50年代にシミヘッドという解決方法を編み出しました。
吸気バルブと排気バルブがシリンダーヘッド上に備えられ、バルブを駆動するカムシャフトをブロックの中に入れるのがOHVエンジンです。
シンプルな構造でコンパクト化しやすく、軽量化の点でも有利となります。他にも放熱性に優れ、耐久性も高い点にあります。
そして、最大のメリットは整備しやすいこと。トラブルが出たときでも作業が大変ラクです。素人でも整備しやすいこのメリットが、アメ車でも採用され続ける理由といえるでしょう。
デメリットは高回転化に不向きな点ですが、市販車でもシボレーコルベットが6000prmで設定されています。
現在、OHVエンジンは少数派となってしまいましたが、根強い人気があります。
現行車だとキャデラック エスカレードやシボレーコルベットがOHVエンジンです。
アメリカ人にとって大排気量OHVエンジンは譲れないものなのでしょう。